保護者向けの発達講座の実施
- kosaka28tomoko
- 2024年10月4日
- 読了時間: 4分
先日、神奈川県で、2,500g未満で早産で産まれたお子さんとご家庭の皆さんをサポートする当事者団体のNPO法人penaさんにて、オンラインで、保護者向けの発達についての講座をさせていただきました。(http://www.pena.kanagawa.jp/)
penaさんは、従来の母子手帳では書くことのできない、小さく産まれたお子さんたちの、日々の懸命な成長の歩みを、その子のペースで書き込める、リトルベビーハンドブックを神奈川県に導入し、お子さんたちとご家族の皆様が、笑って日々を過ごせるための体制づくりを、行政機関にも働きかけながら、広げていかれています。
今回は、そこでの講座の内容を共有させていただければと思います。
保護者向けの発達講座の内容で、いちばん気になるトピックは、幼稚園保育園さがし、小学校に入るにあたって、と集団参加のありようのようでした。
そこで、前半は発達理論の概論を説明させていただき、後半では、各発達段階に照らし合わせた集団の機能、その段階で集団生活でどのような経験が積めると良いか、についてお話させていただきました。
前半の発達についての概論では、認知発達理論(頭で分かることがどのように変化していくか)の代表的な理論と、精神発達理論(こころの働きの成長)の代表的な理論をお話させていただきました。(J.ピアジェの認知発達段階説、E.H.エリクソンの漸成的発達理論、S.フロイトの心理性的発達理論、M.S.マーラーの分離固体化理論、など)
そして、これらの発達理論は、それぞれが単独で成長していくわけではなく、認識の発達は関係性の発達の支えのもと進み、認識の発達が進むと関係性の発達も絡み合って進む、複合的に絡み合っているものであることをお話ししました。また、たとえば発達上の特性があること、感覚器官やその認知処理に困り感があること、身体的にハンディがあること、養育環境に何か困難さがあることなど、さまざまな要因が、認識の発達や社会性の発達が進んでいくスピードに影響したり、積み重ねづらくなったり、そのようなリスク要因になることもあります。発達はこのように、さまざまな理論的背景から分析したり、その子その子で違う背景要因を分析したり、たくさんの角度から捉えていくことが必要です。そのため、こどもの育ちについて悩んだときは、いろいろな人に相談して、たくさん意見を求めることが大切だなと感じています。
後半の集団生活に向けてというところでは、①乳児期、②幼児期、③児童期に分けて、それぞれの段階で経験したい課題をお話しました。
①乳児期では、まず基本的信頼感の確立が大切なので、受容的に、共感的に受けてもらう体験を積むことが必要です。その上で、徐々に、精神発達の課題としては規範性を養っていくために、「机の上には乗らないよ」「これは触っちゃダメだよ」などの制限を経験していきます。
②乳児期で、基本的信頼感を確立した上で、徐々にルールに触れる、という体験を積んでおくと、幼児期に入ると、自分なりで良いので、「欲求」と「規範」の間で「葛藤」する力をつけることが大切になります。これは、まだまだ幼いので、葛藤した結果、欲求の方に転じて行動してしまうことが多くても、その子なりに葛藤できていたか、に注目をします。療育の現場でも、「その子なりの折り合いをつけていたか」は結構大切にしているポイントです。
③そして、児童期に入ると、意欲をもって自分の好きなことに取り組むことが大切になります。さらにこの時期になると、ご家庭で受容的に関わってもらうことももちろん大切だけど、社会場面で認められている感覚、がとても大切になります。なので、ただ楽しいだけでなく、その子なりの内容、活動で良いので、自分が手ごたえをもって取り組めている、そのことで人から認められている、その感覚を抱けるよう、それが難しい場合は周囲に理解を求めていくことが大切になります。
これらの考えは、個人的な考えというわけではなく、裏付けとして、さきほどの認知発達理論や、漸成的発達理論、心理性的発達理論などと照らし合わせて矛盾なく、妥当なものになります。(というか、幼稚園のカリキュラムとか、小学校の教科書の内容とかも、まったくもって発達理論に照らして理にかなったもので、有識者が組んできた教育指針?ってすごいなぁ、プロの仕事だなぁと尊敬してしまいます。)
これらのお話を、夜遅くに保護者の皆様とお話しながら、乳児期、幼児期、児童期(実際はもっとその先まで関わるお子さんも多いですが)と関わる中で、「いつか自分の好きなことを思いっきり楽しめる子になってほしい」と思って関わっている自分を振り返る機会にもなりました。皆様、とても熱心に、色々連想されたようでエピソードを話してくださっていました。
こうして、時折皆で基本的な理論を勉強したり、そのうえで日々の子どもたちの様子を共有したり、改めて大切な時間だと感じ、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。